夏の室内温度は急上昇!子供や高齢者に与える影響と温度を下げる方法とは?
温暖化は世界的な問題となっており、各地で異常な暑さや豪雨、ハリケーンなどの異常気象が続いています。日本でも2018年7月23日に埼玉県で41.1℃を観測し、国内最高気温を記録しました。熱中症による搬送も相次いでおり、暑さ対策には気を付けなくてはなりません。
熱中症といえば外で起こるイメージですが、室内でも発症することを知っていますか?室内温度が上昇した環境の中で過ごしていると、めまいや頭痛などのトラブルが現れ、ひどい場合はショック状態になることも。
「外出しているときに何かあったら……」と考えると、心配でなりません。大切な家族だからこそ、“安心・安全”に暮らしてほしいですよね。
そこで今回は、室内温度が上がるメカニズムや安心して暮らせる環境条件、室内温度を下げる方法をお伝えしていきます。
夏の室内温度は何度まで上がる?
「外よりも室内のほうが涼しいはず」と考える方も多いのではないでしょうか。しかしそうとは言い切れず、家の造りにもよりますが、外の気温より高くなることもあります。
例えば東京都内にあるアパートの最上階に、南向きの日当たり抜群な2LDKがあります。最高気温36℃の晴れた日、21時の角部屋(南向き)の室内温度は42℃を記録しました。気温は14時ごろがピークだとされていますが、それから7時間経っても熱は逃げずにこもったまま。暑さ対策をせずに子供や高齢者を残したまま出かけると、最悪の事態を招きかねません。
極端な例をあげましたが、部屋の特徴によって“温度の上がりやすさ・下がりにくさ”は変わります。ここからは、安心して過ごせる家か見極めるポイントをご紹介します。
夏に室温が上がるメカニズム・上がりやすい家
寒い日の日中、部屋の中に入る日差しで暖をとった経験はありませんか?ポカポカしていて温かいですよね。
これと同じで、部屋のこもった暑さは「気温+太陽」によって発生します。室内温度の原因である太陽の熱は屋根や外壁、床、窓から伝わり、家の中に侵入する仕組みです。その中でももっとも熱を通しやすいのが「窓」で、全体の7割を占めます。
窓の多い家はデザイン性が高く風通しもいいため高い人気を誇りますが、そのぶん熱を通しやすく、室内温度を上げやすいのです。つまり窓の多い家に住む際は、“遮熱性能”の高い窓を選ぶことがポイントになってきます。
その他、室内温度が上がりやすい家の特徴は以下のとおり。
・鉄筋コンクリート造り
・コンクリートの外壁は冷めにくい
・内壁がコンクリート打ちっぱなし→熱がダイレクトに伝わる
・最上階
・西向き(西日)、南向き(日中)の部屋
・窓が多く日光が入りやすい
・風の通り道がない
上にあげたように、窓だけでなく「コンクリート」もポイントになってきます。
鉄筋コンクリートで使用されるコンクリートは、大きな“熱容量”によって温まりにくい反面、たくさんの熱量を蓄えられる“蓄熱性”により冷めにくいという特徴も。一度温まったコンクリートは冷めにくく、家づくりには断熱材が必要不可欠です。
最近のデザイナーズマンションでは「コンクリート打ちっぱなしの部屋」よく見られるようになりましたよね。多くの場合、コンクリートむき出しの状態は断熱材を使用していません。外断熱工法が採用されていれば快適に過ごせますが、採用されていない部屋の室内温度は異常に高くなります。
このように、家は人と同じようにそれぞれ個性や特徴があります。得意・不得意が家によって違うので、今住んでいる家、もしくはこれから住む家がどんな個性を持っているのか確認してみましょう。
室内が高温になると起きる夏のトラブル
室内が高温になって発生するトラブルは「熱中症」だけではありません。例えば、「パソコンの故障」や「食中毒」、「スプレー缶の爆発」などがあげられます。
ここからは、熱中症になりやすい環境やその他のトラブルについて詳しく見てみましょう。
熱中症
熱中症は、7月~8月の気温が高い日に発症する方が多いのが特徴です。熱中症による救急搬送は30℃を超えると発生し始め、35℃になると急増します。
とくに注意が必要なのは、子供や高齢者。子供はもともと体温が高いうえ、汗腺がまだ発達していないため体温調節がうまく行えません。高齢者は暑さを感じにくく、体内の水分量が少ないことから熱中症にかかりやすい傾向にあります。
子供や高齢者を家に残して外出する際は、エアコンを必ずつけ、こまめに水分補給するよう伝えましょう。
パソコンの故障
パソコンは熱や湿気に弱く、暑い部屋や直射日光が当たる場所に置いておくと故障する可能性があります。
パソコンの動作保証温度は50℃とされていますが、室内温度が25℃だからパソコンも25℃というわけではありません。室内よりも高温になるのが普通で、室内温度30℃で直射日光が当たると、パソコンは50℃を上回るため注意が必要です。
食中毒
飲食店だけでなく、普通の家庭でも食中毒になる可能性はじゅうぶんにあります。
食中毒の原因である腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌をはじめとする「細菌」は、30℃~40℃の温度でもっとも増えやすく、6月~8月に発症することが多いです。
室内が暑い状態で食品を常温保存すると食中毒にかかりやすくなるため、必ず冷蔵・冷凍保存するようにしてくださいね。
夏でも安心して暮らせる環境条件
安心して暮らせる環境にするには、“快適性”に着目しましょう。
・夏の室温は28度に設定
・湿度40%~60%
・風通しをよくする
一般的に夏の室内温度は“28℃が適温”だとされていますが、デパートなどの人が集まる場所は26℃~27℃に設定されています。これが、「長くいると肌寒さを感じる」温度です。
また、快適性に重要なのが湿度です。“40%~60%が快適”であり、40%以下だとウイルスの増殖が促進され、60%以上はカビやダニが発生します、エアコンの除湿機能や加湿器をうまく活用して、快適な環境を作りましょう。
夏に室内温度を下げる方法とは?
夏の室内で起こるトラブルを防止し、安心して暮らせる家にするにはどのようにすればよいのでしょうか。「引っ越さないと暑さは変えられないの?」なんて悩んでいませんか?
じつは引っ越さなくても、“アイテムの活用”や“家での工夫”で温度の上昇をピタッと止められるんです。
直射日光を遮るカーテン
窓の外側に取り付ける「グリーンカーテン」は、日光を遮るだけでなく植物の蒸散により温度を下げる効果もあります。
室内には「遮光カーテン」や「遮熱フィルム」、「ハニカムブラインド」などがおすすめです。遮熱フィルムは窓際の温度を5℃ほど下げる効果があり、さらに日焼け防止にも使える優れものです。
遮熱タイプの窓ガラス
遮熱性能のあるガラスとそうでないガラスでは、太陽熱の入る量がまったく違うことを知っていますか?太陽の熱が窓を通して室内に入る割合を「日射熱取得率」と呼び、値が小さいほど遮熱性能のいいガラスです。
遮熱できない「1枚ガラス」は、太陽熱を反射することなくほぼ室内へ通します。一方、遮熱性能のいい「複層ガラス」は太陽熱を50%カットするものも。
風の通り道を作る
快適な家に必要なのが「風の通り道」です。温度を下げるだけでなく、めぐりのいい家にすることで快適性がぐんとアップします。
玄関や大きな窓を開け、風邪の入口・出口を作りましょう。外開き窓は風を取りこむのに効果的です。せっかく作った入口・出口を遮断させないためにも、室内のドアは開けるか、風が通るドアで通り道を作ってあげましょう。
方法の組み合わせで快適な夏を過ごそう
夏に室内温度が上昇するメカニズムや上昇しやすい家、室内でのトラブル、温度を下げる方法などをご紹介しましたが、いかがでしたか?
いつも生活しているからこそ気付きにくく、トラブルが起きてから暑さや湿気の重要性に気付くこともあります。大切な家族を守るためにも、「安心して暮らせる家」を作ることが大切です。
エアコン、除湿・加湿器、遮熱タイプの窓ガラスなど、さまざまな方法を組み合わせて快適環境を作ってみてはいかがでしょうか。
奈良県 香芝市 新築・リノベーション
仲山工務店設計事務所